今時のコーティング事情  (少し長いですが興味のある方は是非読んで下さい。コーティング選びの参考に・・・)

        
 「無機ガラス系(シラザン)のコーティング」VS「シリコーン系(ポリシロキサン)コーティング」
                      2009年1月遂にこのバトルの終息が見えて来ました。

             
遂に「ウオータースポットZero」を実現するコーティングが開発されました。

現在コーティング施工店を経営されている方にも「無機のガラスコーティング」と言う一見強そうなイメージに誘われて、あれこれ数種のコーティング剤を「加盟金やFCのロイヤリティーを払い、設備にも結構お金をつぎ込んだ」方がたくさん居られるようです。
しかしながら「結果」即ちコーティングの効果には施工者もお客様も充分な納得が得られていないのが現実ではないでしょうか。
「無機のガラス」は実際は非常に汚れる物質の代表です。
汚れが付き易い訳はガラスの持つ「接着エネルギーの高さ」に有ります。
コーティングには塗装面を護る犠牲膜としての効果が有るのは当然ですが更にコーティング自体にも汚れや傷を付きづらくする保護膜の効果があればパーフェクトです。
日本の有機珪素(シリコーン)の研究成果は他国を圧倒するレベルに有り、コーティング剤の性能も工夫次第で更なる進化が可能になっています。

現在業務用コーティング剤として使われている物は珪素を原料としたガラス系と石油が原料のフッ素系、それと両者を化学反応で合体させたシリコーン系の3種類です。
シリコーン系もガラス系の一種では有りますが車のコーティングの目的から見ると機能的にはシリコーン系が優れています。
ガラス系の中に完全無機を謳った「シラザン系」のコーティング剤が有りますが、我々施工者から見ると完全無機の良いところが全く解りません。
完全なガラスが汚れや酸化に強いと言いたいのでしょうが、実際は雨によるシミ(ウオータースポット・イオンデポジットなど)は防げません。
しかしながら「完全無機だから酸化しないとか紫外線にも強い」と言う表記も結構目につきます。
完全無機のガラス膜なら紫外線は100%透過します。

「シラザン」は珪素に窒素(無機)を反応させて出来たシロキサンです。(シラザン系が完全無機と言われる訳
「シリコーン」は珪素に炭素(有機)を反応させて出来る「ポリシロキサン」です。(シロキサン+フッ素などの有機物と結びつく有機基を持つ)
シリコーン系が機能的に優れているのは無機と有機を結びつける事が出来る所です。

シリコーンには「接着性」と「離型性」(付けさせない性質)の相反する性質と、水やアルコールには溶けない性質が有ります。
又、表面張力(表面積をなるべく小さくしようとする力)が小さいので表面張力が大きい水が球状に成るのに対し薄く広がる性質があります。
この様な特性をコーティング剤に利用すると水で濡れた塗装面にシリコーンを少量噴霧するだけで薄く広がり水には溶けずに架橋反応(硬化)が起こり被膜形成と同時に塗装面に接着します。被膜形成後は離型性になり他の物質が付着しない表面特性を持つコーティングに成ります。
完全無機と言われるシラザン系コーティングは単に無機ガラスの被膜が出来るだけで防汚効果を得るには他の力が必要になります。
又、シリコーン系とは比較にならない硬化時間の長さで施工初期の安定性に問題があります。
シラザン、シリコーンは共にo-si-oのシロキサン結合を骨格としたポリマーですがシリコーンは更に有機基を持ちフッ素などの化合物成形が可能です。
従来のフッ素ポリマーにもコーティングとしての良いところが有り、ガラスポリマーにも良いところ有りますから「シリコーン系」であればこの両者の良い所を合体する事が出来ます。
その結果現在は「施工性」が良くしかも高性能な「シリコーン系ガラスのコーティング」が可能になっています。
汚れが付かない物質としてはガラスより断然フッ素樹脂です。

「硬度ではガラス」「防汚力ではフッ素」と言う現実からこの両方の特性を合体させるのが「ポリシロキサン」すなわち「シリコーン」なのです。
「無機ガラスのコーティング」と言うイメージだけで錯覚させられている「施工店」や一般ユーザーさんが非常に多い昨今ですが「シリコーン」の良さを理解して頂ければコーティング業界にも更なる希望が持てるはずです。

ある有名なシラザン系無機ガラスコーティングのWebで「半導体など各種電子部品にも採用されている高品質のガラスコーティング剤」と紹介していますが事実でしょうか?。確かにicチップの(半導体)製造には薄膜のsiウエハと言われるガラス膜を使いますが、出来た半導体の保護はフッ素樹脂を含む有機のシリコーンが使われているのが一般的です。siウエハだけではエッジがもろく汚れも水洗いでは落ちないのでフッ素コーティングをしているのが事実の様です。

従来のフッ素樹脂コーティングは撥水が強くウオータースポットが付きやすいと言うイメージが強かったのですが、オルガノシロキサンなどのシリコーンに化学合成することで全く新しいフッ素樹脂効果が得られ「ウオータースポットZero」を実現するコーティングが可能となりました。

水の接触角と接着エネルギーは反比例の関係に有り、フッ素樹脂は他の物質より接触角が非常に大きく接触エネルギーは最小でほとんどの物質に対して非接着性で有るため汚れの固着が非常に少ない物質なのです。
ガラスの接触角は43°前後に対してフッ素樹脂は110°前後ですから明らかにガラスは汚れ易い物質で有る事が解ります。
シリコーン樹脂の接触角は100°前後でフッ素樹脂に次ぎ非接着性が高い物質です。
一般的に接着エネルギーが高い程汚れが付き易い物質と言えます。
フッ素樹脂を含むシリコーン系コーティング剤は無機ガラスのシラザン系コーティング剤より汚れやウオータースポットが防げる根拠がここに有ります。

フッ素の強い疎水性(撥水)がウオータースポットの原因と言われてきましたが、シリコーンとしてシロキサンと合体する事で撥水させてもウオータースポットを残さないコーティングが可能になります。
シリコーン樹脂は疎水性成分と親水性成分が同居した物質なので水玉の形状が扁平になりレンズ効果も起こらずフッ素樹脂の非接着性により汚れの固着を防ぐ事が可能に成ります。

車の汚れの大半は雨や洗車の水が仲介役となり固着します。
下の表はそれぞれの物質と水に対する接触角と接着エネルギーの関係を表しています。
この表でシリコーン樹脂とガラスの数値の違いは一目瞭然! これがそのままコーティング剤にも言える事実です。

                       主な物質の水に対する接触角、接着エネルギーの関係
物質 対水の接触角(度) 対水の接着エネルギー(dyne/cm)
フッ素樹脂 115 43
シリコーン樹脂 100 50
ポリエチレン 88 75
ガラス 43 115
アルミニウム 4.6 145
    ※1dyne/cm:1g の液体を1cm引き離すに必要な力
●最近噂の「キズも消えるらしい」コーティングなのか塗装なのかよく解らない謎めいたコートが有る様ですが、どちらにしても透明な液体を塗ってキズが消える事はあり得ません。キズの凹凸が平に成り、段差が完全に無くならない限り光の陰が残り、幾ら重ね塗りしてもキズとして残る物です。
本当のプロはクリア層内で止まったキズは周りのクリアを寄せながら磨き、最小限の研削で平にします。
塗るだけで「キズが消える」コーティング? 有ると助かりますが うさん臭い 話です。
この業界ではこの様な「素人受け」しそうな物が意外と売れてしまうのが現実で、その度に騙されたと後悔する者が跡を絶たないのは何故でしょうか?


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